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CASE STUDY

婚礼の準備シートをWebアプリ化。デザインを変えずに専用URL発行と進捗管理を追加

詳しい内容

結婚式の準備には、招待状の発送、席次表の確定、衣装の下見、BGMの提出など、期日の決まった作業が並びます。おふたりへお渡しする「準備シート」は、その全体像を1枚にまとめたものでした。

今回ご相談いただいたのは、このシートがHTMLファイル1枚だったことによる課題です。会場や衣装店によって内容が変わるため、案件ごとに中身を作り分ける必要がありました。お渡しした後の修正も反映できません。

そこで、シートの見た目と構成をそのまま残したまま、プランナーが画面から発行・修正でき、おふたりの進捗が保存されるWebアプリに再構成しました。

ご相談の背景

準備シートには、婚礼の実務に必要な情報が16のセクションに整理されていました。期日、当日のスケジュール、キャンセル料、席次表、ペーパーアイテム、衣装、前撮り、招待状、BGM・DVD、引出物、持ち物、提出書類などです。

このシートは完成度が高く、現場で使い込まれたものでした。プランナーもおふたりも、この形に慣れています。

一方で、内容は案件ごとに変わります。設定が必要な項目は48。分岐も多岐にわたります。

  • 会場:7パターン(集合場所や収容人数が会場ごとに異なる)
  • 提携衣装店:2社(案内する地図・持ち物が変わる)
  • 席次図:丸テーブル(8〜10名)と流しテーブル(2〜40名)
  • DVDの画面比率:16:9 と 4:3
  • 料理の締切:挙式の8日前と15日前
  • 同梱するPDF:9点(メイクの有無で着付用紙が切り替わる)

「この完成した形を崩さずに、運用だけ楽にできないか」というのが出発点でした。

導入前の課題

  • 案件ごとにHTMLの中身を作り分ける必要があり、担当者以外が触りにくい状態だった
  • お渡しした後に挙式日や会場が変わっても、配布済みのファイルは更新できない
  • 挙式日が変わると、招待状の発送日や料理の締切など期日を計算し直す必要があった
  • おふたりが「どこまで準備できているか」をプランナー側から把握する手段がなかった
  • 新郎と新婦が別々の端末で確認するため、進捗の共有が口頭や個別連絡に頼っていた

ご提案・開発内容

「既存のシートを作り直す」のではなく、シートの表示部分はそのまま流用し、発行と保存の仕組みだけを新しく作る方針を採りました。

プランナーの入力から、おふたりの進捗確認までの流れ
プランナーの入力から、おふたりの進捗確認までの流れ

1. 48項目の設定から、専用URLを自動発行

プランナーがログインし、おふたりのお名前・挙式日・会場などを入力して保存すると、そのカップル専用のURLが発行されます。

URLはランダムな文字列で生成しています。おふたりにアカウントを作っていただく必要はありません。URLを開くだけで、ご自身の準備シートが表示されます。

準備で忙しい時期に、IDとパスワードを管理していただくのは負担になります。ログインを挟まない形にしました。

2. 挙式日から、期日を自動で計算

挙式日を入力すると、招待状の発送日、返信期日、席次表の確定日、料理の締切など、期日が決まる項目が自動で算出されます。

挙式日を後から変更した場合も、同じURLのまま期日だけが更新されます。おふたりへURLを再送する必要はありません。

会場や衣装店を選び直したときも同様です。設定を変えても、配布済みのURLはそのまま使い続けられます。

3. おふたりのチェックを保存し、複数端末でも壊さない

準備シートには、期日までに済ませる項目が11あります。おふたりがチェックを付けると、その状態が自動で保存されます。

ここで気をつけたのが、新郎と新婦が別々の端末で同時に開くという前提です。

一般的な作り方をすると、後から保存した端末の内容で、先に保存された内容が上書きされます。片方がチェックした項目が、もう片方の操作で消えてしまう状態です。

そこで項目ごとに更新の履歴番号を持たせ、他の端末が先に更新していた場合は上書きせず、最新の状態を表示し直す設計にしました。

画面を開いたとき、他のタブから戻ったとき、そして表示中は一定間隔で、最新の状態を取得します。保存中・保存済み・通信失敗の状態も画面に表示します。通信に失敗したときに「保存済み」と表示しないことを、特に重視しました。

4. リンクの停止と、発行し直し

配布したURLは、管理画面から停止・再開できます。新しいURLに変更することも可能です。

URLを変更すると、以前のURLは開けなくなります。設定と進捗はそのまま引き継がれます。

誤って別の方へ送ってしまった場合や、担当が変わった場合に、その場で対処できる状態にしています。

システム構成

プランナー側の管理画面と、おふたり側の閲覧画面を分けています。

項目導入前導入後
シートの形式HTMLファイル1枚Webアプリ(ブラウザーで表示)
案件ごとの作成ファイルの中身を直接編集画面から48項目を入力して保存
おふたりへの共有ファイルを個別にお渡し専用URLを送るだけ
お渡し後の修正反映できない同じURLに自動で反映
期日の算出挙式日から都度計算挙式日の入力で自動計算
進捗の把握手段なし管理画面で11項目を確認
複数端末での更新—項目単位で競合を検出し、上書きを防止
アクセスの停止—管理画面から停止・再発行

デザインと表示ロジックは、そのまま引き継いでいます

16セクションの表示、期日の計算、席次図の描画、会場ごとの分岐は、元のシートで使われていたプログラムをそのまま流用しました。CSS、画像32点、PDF9点も元のファイルを変更していません。

新しく作ったのは、ログイン、設定の保存、URLの発行、進捗の保存といったサーバー側の処理だけです。

運用先に合わせて、2つの構成を用意しました

同じ仕様を、クラウド構成と共有サーバー構成の2通りで実装しています。

構成内容向いているケース
クラウド構成Next.js+クラウドデータベース自動デプロイや拡張性を重視する場合
共有サーバー構成PHP+MySQL既存のレンタルサーバーで完結させ、月額の追加費用を抑えたい場合

クラウドサービスは便利ですが、月額費用が積み上がります。既にレンタルサーバーをご契約中で、アクセス数がそれほど多くない業務システムであれば、そちらで動かしたほうが総額を抑えられる場合があります。

どちらが正解かは、運用体制と費用の考え方で変わります。選べる状態にしておくことを、この案件では重視しました。

導入後の変化

案件ごとの作成にかかる時間

5分で完了。

おふたりからの問い合わせ

90%削減(毎月100件→毎月10件)

担当者以外でも対応できる範囲

担当者以外の管理者は全て確認が可能になった。

この事例のポイント

完成しているものは、作り直さない

業務システムの相談をいただくと、つい一から作り直す提案になりがちです。しかし今回のように、現場で使い込まれて完成度が高いものは、作り直すと現場の慣れを壊してしまいます。

今回は、表示部分をそのまま残し、足りなかった「発行」と「保存」だけを追加しました。おふたりが受け取るシートの見た目は、これまでと変わりません。

既存の資産がある場合、どこを残してどこを作るかの切り分けが、費用と現場の負担を同時に左右します。

お客様側に、アカウントを作らせない

社内システムであればログインは当然ですが、お客様に使っていただくものは前提が変わります。

準備で慌ただしい時期に、IDとパスワードを覚えていただくのは負担です。今回はランダムなURLを発行する方式にし、開くだけで見られる形にしました。

その代わり、URLを知っている方は閲覧できます。リンクの停止と再発行を管理画面から行えるようにして、運用側で対処できる状態にしています。

個人情報を扱う前提で設計する

準備シートには、お名前と挙式日、会場が含まれます。

すべてのページとPDFに、検索エンジンに登録されない設定を入れています。担当プランナーは、自分が担当するカップルの情報だけを参照できます。

業務効率化と個人情報の扱いは、切り離せません。便利さだけを追いかけると、後から作り直しになります。

よくある質問

既存のExcelやHTMLで作った資料も、同じようにWeb化できますか。

できる場合が多いです。判断の目安は「表示の形が固まっているか」です。固まっていれば、今回のように表示部分を流用して、保存や共有の仕組みだけを追加できます。まだ形が定まっていない場合は、先に整理からご一緒します。

お客様にアカウントを作ってもらう方式と、URLを配る方式のどちらがよいですか。

閲覧が中心で、扱う情報が限定的であればURL方式が向いています。おおむね、お客様の利用頻度が低いほどURL方式が適しています。金銭のやり取りや、より機微な情報を扱う場合はログイン方式を検討します。

クラウドと自社のレンタルサーバー、どちらで動かすべきですか。

アクセス数が多くない業務システムで、既にレンタルサーバーをご契約中であれば、そちらで動かすほうが月額を抑えられることが多いです。一方、自動でのデプロイや将来の拡張を重視する場合はクラウドが向いています。ご契約状況を確認したうえでご提案します。

作った後の修正はお願いできますか。

対応しています。スゴヨクは作って終わりではなく、公開後も一緒に考え、動き続ける進め方をとっています。

まとめ

今回は、完成度の高い既存の準備シートを活かしながら、運用の手間だけを減らす形で再構成しました。

  • 見た目と構成は変えず、表示のプログラムをそのまま流用
  • 48項目の設定から専用URLを自動発行し、お渡し後の修正も同じURLに反映
  • おふたりの進捗を保存し、複数端末で開いても互いの更新を消さない設計
  • 運用体制と費用に合わせて、クラウドと共有サーバーの2構成を用意

とはいえ、「どこまでを既存のまま残せるか」の見極めは、社内だけで判断しにくいところです。

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